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【2026年4月施行】宅建業者に新たな説明義務。マンションの「管理業者管理者方式」を購入者へ明示する規則改正へ

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国土交通省と消費者庁は、「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令案」を公表しました。今回の改正は、マンション取引において、管理業者が管理組合の管理者も兼ねる「管理業者管理者方式」が導入されている場合に、宅地建物取引業者が購入者に対してその旨を説明することを義務づけるものです。改正法は2025年12月公布、2026年4月1日施行予定です。


改正の背景

2024年に成立した「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部改正法」(令和7年法律第47号)により、マンション管理適正化法が改正されました。
この改正では、管理不全マンションの発生を防止するために、管理業者を管理者として選任する方式(管理業者管理者方式) が新たに制度として認められています。

しかし、管理業者が管理者を兼ねる場合、修繕工事などの発注で利益相反が生じるおそれがあります。こうした管理形態を知らずに購入した入居者が、後にトラブルに巻き込まれるケースを防ぐため、購入判断に重要な影響を与える情報として、宅建業者による明確な事前説明を求める仕組みが整えられることとなりました。


改正の主なポイント

管理業者が管理者を兼ねる場合の説明義務化

宅地建物取引業法施行規則第16条の2(区分所有建物に関する重要事項説明)を改正し、
「当該マンションの管理者等が、管理組合から委託を受けて管理事務を行うマンション管理業者である場合には、その旨を説明すること」 を新たに追加します。

つまり、販売するマンションが「管理業者管理者方式」を採用している場合、宅地建物取引士は購入者に対し、
・管理形態(管理者が管理会社であること)
・その理由および管理上のリスク(利益相反の懸念など)
を明確に書面で説明しなければなりません。

消費者保護と透明性の強化

従来の重要事項説明では、管理規約や委託契約の概要を説明すれば足りるとされていましたが、今回の改正により、管理体制の「運営構造」まで踏み込んだ説明が求められます。
これにより、購入者が契約前に管理方式の特徴を理解し、適正な判断を行えるようになります。


実務への影響・不動産事業者の対応策

今回の改正は、分譲マンションの販売を行う宅建業者および販売代理会社に直接影響します。

重要事項説明書の様式改訂:第16条の2の改正内容を反映し、管理方式の説明欄を新設する。
宅地建物取引士への研修強化:管理業者管理者方式の仕組み、利益相反リスク、説明時の留意点などを周知。
販売計画・広告の整合性確認:パンフレットや公式サイトでも、管理方式を明記する対応が求められる。
管理業者・デベロッパーとの情報連携:管理契約書・規約案の段階で説明資料を取得し、販売前に内容確認を行う体制が必要。

また、マンションデベロッパーや管理会社も、管理方式選定の際に「販売時説明義務」を踏まえ、管理契約や広報資料の整合を確保しておくことが望まれます。


施行時期と今後のスケジュール

・公布:2025年12月(予定)
・施行:2026年4月1日

国土交通省・消費者庁は、施行までに解説資料や説明書式の改訂例を提示する見込みです。宅建業者は、2025年度中に社内書式・教育・説明プロセスを改訂しておく必要があります。


まとめ

今回の改正は、老朽化マンション対策の一環として、「管理体制の透明性」 を取引段階から担保する仕組みです。宅建業者は、管理業者管理者方式の採用有無を正確に把握し、購入者に適切に説明する責任を負います。これにより、管理不全の未然防止と消費者保護の両立が期待されます。
出典:国土交通省・消費者庁「宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令案について(令和7年10月)」

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