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【2027年1月施行】労働安全衛生規則改正で個人事業主の災害報告が義務化へ。特定注文者・中小企業に新たな対応責任

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厚生労働省は、2027年1月1日施行を予定として「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案」を公表しました。
今回の改正は、2025年に成立した「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部改正法(令和7年法律第33号)」を受けたもので、個人事業主(フリーランス等)に発生した業務災害についても報告制度を拡大する内容です。
これにより、元請企業(特定注文者)や災害発生場所を管理する事業者にも新たな報告義務が課されることになります。

目次

改正の背景

これまでの労働安全衛生法では、「労働者」に発生した労働災害のみを報告対象としていました。しかし、建設・運輸・情報通信などの現場では、**労働者以外の個人事業主(フリーランス・一人親方)**が同一作業場所で就労するケースが増加。
そのため、業務中の事故や死亡災害が発生しても、法的な報告義務がない“情報空白”が課題となっていました。

改正法(令和7年法第33号)により、厚生労働大臣等は**「労働者ではない者の業務災害」**についても調査を行うことが可能となり、今回の省令改正でその報告制度の具体的運用が定められます

改正の主なポイント

① 特定注文者・災害発生場所管理事業者への報告義務の新設

個人事業主が労働者と同一場所で仕事を行い、**業務災害(死亡または4日以上の休業)**が発生した場合には、特定注文者または災害発生場所管理事業者が所轄の労働基準監督署へ報告する義務を負います。

ただし、過労や精神障害などの長期健康障害による事案は対象外です。

特定注文者とは

  • 業務災害に遭った個人事業主に仕事を発注し、同じ現場で作業している事業者
  • 下請け構造が多層の場合、**個人事業主に最も近い発注者(直近の元請)**が報告義務を負う

災害発生場所管理事業者とは

  • 現場を管理しており、その場所に特定注文者が存在しない場合に報告義務を負う事業者

これにより、個人事業主の災害情報が国に一元的に集約され、再発防止対策が進められます。


② 中小企業の役員にも報告義務を拡大

中小企業において、役員などが同様の業務災害(死亡・4日以上の休業)に遭った場合も、事業者が監督署に報告する義務が新設されます。
労働者以外の経営層も安全衛生上の被災者として扱うことで、企業全体の安全意識向上と労災防止策の強化が期待されます。


③ 個人事業主・役員自身による自主報告を可能に

過重労働や精神障害など、労働災害ではないが健康被害が発生したケースについては、当該個人事業主や中小企業の役員等が任意で監督署に報告できる制度が設けられます。
これにより、実態の把握が進み、行政による健康支援・予防策の検討がしやすくなります。


④ 報告対象となる事案

  • 死亡災害
  • 4日以上の休業を要する負傷・疾病
  • 労働者と同一現場での業務中の事故(交通事故を除く)
  • ただし、過労や精神障害による疾病は除外

実務への影響と企業対応

建設・製造・物流などの多層下請構造に注意

建設・設備・運輸業などでは、個人事業主(下請)を多数抱える企業も多く、元請としての報告責任の範囲を明確化する必要があります。
特に、複数の下請契約が連なっている場合には、どの事業者が「特定注文者」に該当するかの判断が重要です。

安全衛生体制の見直し

  • 契約時に個人事業主の安全管理体制を確認
  • 現場内での災害発生時の連絡・報告フローを明文化
  • 元請・下請間での報告体制を含む安全衛生協定書の改訂

中小企業・個人事業主への啓発

報告対象や手続きの理解不足による違反を防ぐため、監督署からの指導・周知活動も拡大が見込まれます。


根拠条項と施行期日

  • 根拠法令:改正労働安全衛生法(令和7年法律第33号)第100条の2
  • 公布予定:2025年11月
  • 施行日:2027年1月1日

報告様式や電子申請対応などの詳細は、今後厚生労働省の告示・通達で示される予定です。


まとめ

この改正により、これまで「労働者に限定」されていた労働災害報告制度が、フリーランスや中小企業の経営者層にも拡大されます。
現場を抱える事業者は、今後の報告義務に備えた体制整備と教育が不可欠です。
政府としては、働き方の多様化に対応し、**「誰も取り残さない安全衛生管理」**を実現する制度改革として位置づけています。

出典:厚生労働省 労働基準局「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案について(概要)」令和7年11月

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