厚生労働省は「確定拠出年金法施行令の一部改正案」を公表し、2026年4月1日の施行を予定しています。今回の改正は、令和7年法律第74号(国民年金法等の一部改正法)により、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者掛金に設けられていた「事業主掛金を超えてはならない」という上限規制が撤廃されることを受けた措置です。これにより、従業員が自らの意思でより柔軟に拠出額を設定できるようになります。
改正の背景
社会経済の変化や働き方の多様化に対応し、年金制度の自助努力部分を強化する狙いがあります。これまで企業型DCでは、企業拠出と加入者拠出の合計に厳格な制限があり、個人が自分の将来資金を積み増ししたい場合でも上限により制約されていました。令和7年改正法では、この制限を撤廃することで、企業・個人がそれぞれの経済状況に応じた老後資産形成を行いやすくします。
これに伴い、施行令など下位法令でも、上限規制の削除に整合するよう条文整理が行われます。
改正の主なポイント
企業型DC加入者掛金の上限撤廃に伴う整理
従来、企業型DCの加入者掛金は、事業主掛金の額を超えてはならないとされていましたが、令和7年改正法によりこの上限が撤廃されます。これに対応して、確定拠出年金法施行令(DC令)第6条第4号ハの関連規定が削除されます。
掛金変更回数の扱いを明確化
これまで例外扱いだった「事業主掛金が引き下げられた場合に加入者掛金を調整する変更」は、今後は一般の掛金変更と同様に「1回分」としてカウントされます。これにより、加入者による掛金変更回数の管理が一層明確になります。
制度の趣旨を維持しつつ柔軟性を拡大
頻繁な掛金変更や“あるとき払い”を防ぎ、年金としての継続的拠出性を保つ制度趣旨は維持しながらも、個人の裁量を広げるバランスを取った改正となっています。
実務への影響・企業の対応策
企業型DCを運営する事業主や運営管理機関は、2026年4月の施行に向けて以下の対応が必要です。
・規約・運用規程の改訂(上限撤廃および施行令条文の整理に対応)
・加入者への説明資料や通知文面の更新
・掛金変更申請システムの改修および回数管理ルールの再設定
・人事・給与システムとの連携調整(給与天引き額変更など)
従業員にとっては、ライフステージに応じて掛金を見直しやすくなる一方、税制上の優遇枠や資金繰りとのバランスを理解した上で選択することが重要です。
施行時期と今後のスケジュール
改正施行令の公布は2025年12月下旬、施行日は**2026年4月1日(予定)**です。
それまでに企業は、運用規約・説明資料・事務処理体制の整備を完了しておく必要があります。今後、厚生労働省からガイドラインやQ&Aが示される可能性があり、最新情報の確認が欠かせません。
まとめ
今回の確定拠出年金施行令改正は、企業型DCの掛金上限撤廃により、従業員自身の拠出自由度を高める一方で、制度の健全性を保つバランスを取った内容です。企業・個人双方が自助努力による資産形成を進めやすくなるため、早期の体制整備が求められます。
出典:厚生労働省「確定拠出年金法施行令の一部を改正する政令案について(概要)」