国土交通省は「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」を改正し、2025年12月12日以降に発生した不正行為から新基準を適用します。今回の改正は、建設業法改正(2024年6月公布)を受け、著しく低い労務費や短工期での契約など、新たに禁止された行為を監督処分の対象に追加するものです。建設業者や元請企業は、今後の見積・契約対応で特に注意が求められます。
改正の背景
建設業では、担い手不足が深刻化するなか、賃金引上げや労務環境の改善を通じて人材確保を進めることが喫緊の課題となっています。2024年6月の建設業法改正では、過度なコスト削減や不当な短工期設定が労働者の処遇悪化や安全性低下を招いている点を踏まえ、元請・下請間の取引環境を是正する措置が導入されました。
その流れを受けて、監督処分基準の改正が行われ、違反行為に対してより明確かつ厳格な行政処分を適用できる体制が整えられます。
改正の主なポイント
著しく低い労務費・短工期契約の禁止を処分対象に追加
新たに建設業法で禁止された
・著しく低い労務費・経費による見積や契約変更依頼
・原価を下回る契約締結
・著しく短い工期設定
といった行為が、監督処分基準上も「指示処分」の対象として明確に列記されます。
不正行為への処分基準の具体化
従来どおり、建設業法第28条本文に基づく不正行為が確認された場合、原則として指示処分を実施しますが、今回の改正により、違反類型ごとの行政対応がより具体化されることになります。これにより、元請・下請の双方に対して実効性ある監督が期待されます。
実務への影響・企業の対応策
今回の改正で特に影響を受けるのは、下請業者に見積りを求める元請企業や、コスト削減圧力を受けやすい中小建設業者です。
以下の対応が求められます。
・見積り時に、労務費や経費が実勢を反映しているか社内チェックを強化する
・契約締結前に、工期設定や原価計算の合理性を検証する
・元請・下請間の価格交渉記録や経費算定根拠を文書で残す
・監督処分に発展した場合の信用リスクを踏まえ、法令遵守体制を再点検する
建設業界全体としても、「安さ競争」から「適正取引・適正労務」へと転換する必要があります。
施行時期と今後のスケジュール
改正監督処分基準は、2025年12月12日以降に行われた不正行為から適用されます。
施行まで約1年の準備期間がありますが、元請・下請ともに実務フローの見直しを早期に進めることが重要です。
また、国土交通省は今後も処遇改善や働き方改革の実効性を確保するため、監督体制の強化を進める方針です。
まとめ
今回の改正は、建設業の「安値受注」や「短工期強要」といった構造的問題に対し、監督処分を通じて是正を図る重要な一歩です。企業は単に法令を守るだけでなく、適正な価格と労務管理を前提とした持続可能な経営体制の構築が求められます。
出典:国土交通省「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準について(一部改正概要)」(令和7年10月)