防衛省は「自衛隊法施行令の一部を改正する政令案」を公表し、2026年4月1日から施行する予定です。今回の改正は、予備自衛官・即応予備自衛官・予備自衛官補に関する各種手続きを、従来の書面方式からオンライン化するものです。クラウドシステムを導入し、招集命令の交付や届出の提出をすべて電子的に行えるようになります。これにより、行政の効率化と迅速化が一段と進みます。
改正の背景
社会全体でデジタル化が進むなか、防衛分野でも「構造改革のためのデジタル原則」(令和3年12月閣議決定)に沿って、業務のオンライン完結化が求められています。特に予備自衛官制度は、これまで紙の招集命令書や届出書を用いるなど、アナログな手続きが残っていました。
防衛省は、デジタル社会形成の重点計画や官民データ活用推進基本計画に基づき、エンドツーエンドでのデジタル完結を目指したシステム改革を推進。これを受けて、自衛隊法施行令に電磁的方法(オンライン手続)を明記することとなりました。
改正の主なポイント
① 招集応答のオンライン化
予備自衛官等が招集に応じられない場合の「不参加申出」を、電子的手続きで行えるようにします。これまで郵送や書面提出が必要だったものを、クラウド上で完結できるようになります。
② 招集命令書・教育訓練命令書の電子交付
これまで紙で交付していた招集命令書(第91条、第102条の5、第102条の11関係)を、オンラインで発行・通知できるようにします。対象は予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補の全員です。
③ 各種届出の電子化
住所変更や勤務先変更など、予備自衛官等が防衛大臣に提出する届出についても、電磁的方法での手続きを可能とします。電子署名などセキュリティ面も考慮したクラウドシステムを導入予定です。
④ その他、関連規定の整備
従来条文との整合を図るため、各条項の文言整理や電磁的記録に関する規定を追加します。
実務への影響・対応策
防衛省関係部局および地方協力本部は、システム導入と併せて新たな運用マニュアル整備が必要になります。予備自衛官本人にとっては、以下のような変化が生じます。
・紙の書類提出が不要となり、PC・スマートフォンで手続可能
・通知・命令の受領が迅速化され、即応性が向上
・電子データの管理・認証手続に関する理解が必要
また、防衛省はセキュリティを重視し、情報保護・アクセス管理の強化を進める方針です。官民データ活用の観点からも、他省庁に先駆けた「完全オンライン化モデル」として注目されます。
施行時期と今後のスケジュール
改正政令は2026年4月1日施行予定。
システム整備や関係職員の研修は、2025年度中に段階的に実施される見通しです。運用開始にあたっては、試行期間や利用者向けガイドラインの策定が想定されます。
まとめ
本改正は、防衛省の業務デジタル化を象徴する動きであり、予備自衛官制度の運用効率を飛躍的に高めるものです。従来の紙手続から脱却し、クラウド基盤での電子招集・届出が可能になることで、迅速な対応と情報共有が実現します。防衛組織における行政デジタル化の先進事例として、他分野への波及も期待されます。
出典:防衛省「自衛隊法施行令の一部を改正する政令案について(令和7年10月)」