公正取引委員会は2025年10月1日付で、「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第六条第一項及び第二項の率を定める規則」(令和7年公正取引委員会規則第9号)を公布しました。
この新規則は、2026年1月1日施行であり、同日に改正される「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」の適用ルールと連動して運用されます。
改正により、支払遅延が生じた場合の遅延利息率を年14.6%に統一し、電子取引やファクタリングなど新しい支払形態にも適用できる仕組みが整いました。
制定の背景
今回の新法は、「下請代金支払遅延等防止法」および「下請中小企業振興法」の改正(令和7年法律第41号)に対応するもので、
中小受託事業者(下請・外注先)に対して発注企業が支払を遅らせたり、減額・不当控除を行った場合に課される法定遅延利息率の明確化を目的としています。
これまでの制度では、紙契約・現金取引中心であったため、電子取引・電子記録債権・債権譲渡担保といった新方式における遅延利息の適用にグレーゾーンがありました。
今回の統一利率導入により、デジタル取引時代に対応した一律・明快な基準が設けられます。
新法の内容
第1条 遅延利息の法定率
「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」
(昭和31年法律第120号)第6条第1項および第2項に定める公正取引委員会規則で定める率は、次のとおりとされました。
年14.6%(年利率)
この利率は、支払期日を過ぎた日から実際の支払日までの期間について、発注者(委託事業者)が中小受託事業者に支払う義務がある遅延損害金の算定基準となります。
附則
施行期日は2026年1月1日と明記されており、同日からすべての製造・修理・役務委託取引において適用されます。
これにより、2026年以降は、支払遅延発生時に自動的に年14.6%の遅延利息が発生することになります。
実務上のポイント
(1)元請・発注企業側(委託事業者)
- 支払遅延時のコスト(遅延利息)を明確に認識する必要あり。
- 請求システムや契約書における支払期日・遅延利息算出方法の明示が必須。
- ファクタリングや電子記録債権での支払でも、遅延時は同率適用。
(2)中小受託事業者(下請・外注先)
- 支払遅延が発生した際には、年14.6%の利息請求権を行使可能。
- 契約書や請求書に利息条項が明記されていなくても、法定利率として自動適用されます。
- 電子契約・クラウド請求でも同一基準が適用。
(3)契約書・システム運用上の留意点
- 遅延利息の計算方法(年14.6%÷365日×遅延日数)を自動反映できるよう、会計・経理システムの改修が必要。
- 電子取引時の証拠保存(発注日・支払期日記録)は、利息請求根拠として重要。
制度の位置づけ
この利率設定は、旧「下請法第四条の二」の遅延利息規則(昭和37年公取委規則第1号)を全面的に改正し、
「製造委託等代金支払遅延防止法」(新名称)に統合したものです。
従来の下請法体系を引き継ぎつつ、名称を「製造委託等に係る中小受託事業者法」に整理し、
中小企業取引の包括的保護法制として再編されました。
まとめ
2026年1月施行の「製造委託等代金支払遅延防止法」では、
- 遅延利息:年14.6%に統一
- 電子契約・電子債権取引にも適用
- 中小受託事業者の資金繰り支援強化
という3点が柱です。
本制度により、取引上の支払遅延に対する法的抑止力が強化され、
中小企業のキャッシュフロー改善と取引の公正化が一層促進されることが期待されます。
引用元
公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第六条第一項及び第二項の率を定める規則」(令和7年公正取引委員会規則第9号、2026年1月1日施行)