消費者庁は2025年10月30日、「消費者安全法の重大事故等に係る公表」を発表しました。
今回の報告によると、関係行政機関などから通知された消費者事故は計137件、このうち重大事故等として報告されたのは24件に上りました。
火災や感電などの製品事故に加え、保育・福祉サービスにおける人身事故も目立ち、高齢者・幼児を中心とした安全管理の徹底が課題となっています。
公表の背景
「消費者安全法」に基づき、消費者の生命・身体の安全に関わる事故情報は、関係機関(警察庁・消防庁・国交省・地方公共団体など)から消費者庁に通知され、集計・分析の上で定期的に公表されます。
この制度は、事故原因の早期把握と、再発防止・リコール情報の共有を目的としたものです。
今回の報告では、リチウム電池・電子機器の発火事故や、保育・福祉施設での重傷事故が特に多く報告されています。
今回の報告概要
通知件数の内訳
- 消費者事故等:137件
- 関係行政機関から:129件(うち食品101件、製品26件、運輸2件)
- 地方公共団体等から:8件(役務事故8件) - 重大事故等:24件(製品事故・運輸事故・役務事故)
主な重大事故事例(抜粋)
1. 製品事故(火災・発火事案が多数)
報告された製品事故の大半は火災・発煙であり、発火源調査が進められています。
特にリチウム電池を内蔵する充電器や家電製品に関する事故が多く、以下のような事例が公表されました。
- リチウム電池内蔵充電器の火災(神奈川県)
他社製USBケーブルを接続して充電中に異音・異臭を伴う火災が発生。製品起因か他要因か調査中。 - 電気シェーバー充電中の出火(神奈川県)
他社製ケーブル使用中に発火。すでに重大製品事故として公表済み。 - アンカー・ジャパン製リチウム充電器の焼損(神奈川県)
学校で異音・発煙。2025年6月からリコール実施済み。 - ガス給湯器・電気ケトル・電子レンジなどの発火(全国各地)
いずれも火災原因を調査中。 - ドローン用バッテリー火災(長崎県)
リチウム電池の過充電・劣化の可能性が指摘され、製造・保管方法の見直しが求められています。
2. 運輸・交通関連事故
- タクシー運行中の衝突事故(島根県)
運転者の前方不注意により、乗客(80代)が両手骨折の重傷。 - タクシー降車時の転倒事故(京都府)
降車中の乗客を確認せずドアを閉めたため、乗客が転倒し大腿骨骨折。
高齢者の被害が目立ち、事業者の運行安全マニュアル徹底が求められます。
3. 役務・福祉サービス事故
地方公共団体から報告された5件のうち、全件が人身事故であり、保育や福祉施設での安全管理の不備が原因とされています。
- 保育施設で幼児が棚の下敷き(神奈川県)
固定されていない棚が倒れ、顔面に裂傷の重傷。 - 園外保育中の落下事故(山梨県)
写真撮影中に職員が児童を見守らず、6歳児が台から落下し骨折。 - 保育室での玩具事故(神奈川県)
玩具の開閉部に指を挟み骨折。職員が一時離席中に発生。 - 障害福祉施設での食事中やけど事故(宮城県)
熱い麺料理を冷まさず提供し、III度熱傷の重傷。
消費者庁の対応と注意喚起
消費者庁は、これらの事故情報を関係省庁・自治体と共有し、再発防止策の検討を進めるとともに、製品リコール情報を以下の公式サイトで公開しています。
- 消費者庁リコール情報サイト:https://www.recall.caa.go.jp/
また、本報告は速報段階のものであり、今後の事故調査の結果によって内容が変更される場合があります。
特にリチウム電池製品の火災に関しては、非純正ケーブル・アダプター使用など利用者側の行動にも注意喚起が行われています。
実務上のポイント(事業者向け)
- 製品安全管理体制の再点検
充電器・電池製品のリコール履歴確認、販売後フォロー体制の整備。 - 施設・保育サービス事業者の安全基準見直し
設備固定・監視体制の強化、ヒヤリハット共有の仕組みづくり。 - 高齢者・障害者サービスでは温度・操作リスクへの配慮徹底。
まとめ
2025年10月の「消費者安全法」報告では、リチウム電池製品の火災事故と保育・福祉施設での重傷事故が顕著に増加しています。
家庭用製品の充電環境や子どもの遊具・設備の安全性を改めて確認し、日常生活に潜むリスクを早期に発見・回避する体制が求められます。
引用元
消費者庁「消費者安全法の重大事故等に係る公表(令和7年10月30日)」