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【2025年10月施行】警察庁「犯罪収益対策推進要綱」を全面改正。暗号資産・SNS詐欺を標的にした新体制へ

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警察庁は2025年10月1日付で「犯罪収益対策推進要綱」を全面改正し、全国の警察に通達を発出しました。
特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺などによる被害額は2024年時点で約2,000億円に達し、被害は過去最悪の水準に。
これらの犯罪の背後には、匿名・流動型犯罪グループが存在し、預貯金口座から暗号資産(仮想通貨)までを悪用してマネーロンダリングを行っています。
新要綱は、こうした新種犯罪への対抗を目的に、警察・民間・国際機関の連携による資金追跡・収益剝奪の強化を掲げています。


改正の背景

警察庁によると、2024年の特殊詐欺・SNS投資詐欺の被害は前年比で増加。暗号資産・電子決済の悪用や、SNSでの“恋愛型詐欺”が急増しています。
また、これらの犯罪は組織の実体が特定困難な匿名グループによって遂行され、資金は国内外の口座やデジタル資産を経由して洗浄されるケースが多発。
政府は2025年4月の「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」で、犯罪収益の剝奪と国際連携の強化を明記しました。
今回の要綱改正は、その実行指針として位置づけられます。


改正の主なポイント

1. 犯罪収益対策の3本柱を明示

新要綱では、警察の取組方針を次の3本柱で体系化しています。

  1. 特定事業者のサービス悪用防止
  2. 犯罪収益関連犯罪の徹底的な取締り
  3. 犯罪による収益の追跡と剝奪

これらを通じて、金融機関・暗号資産交換業者などの民間事業者、外国のFIU(資金情報機関)との連携を強化します。


2. 暗号資産・SNS型詐欺への重点対策

  • 暗号資産を用いた資金洗浄を「犯罪収益関連犯罪」として明確に位置づけ。
  • サイバー部門と連携した「暗号資産追跡支援体制」を全国警察に整備。
  • SNS型詐欺(投資・恋愛・副業詐欺)を含む匿名・流動型犯罪グループを特定対象とし、資金の流れを早期に遮断。
  • 暗号資産を追跡・押収した際は、警察庁サイバー特別捜査部に報告・集約を義務化。

3. 金融・IT事業者との情報連携の拡大

  • 金融機関、電子決済事業者、暗号資産交換業者に対し、マネーロンダリング防止法(犯収法)に基づく遵守強化を要請。
  • 不適切な事業者が確認された場合は、都道府県警が警察庁に速やかに報告し、国家公安委員会が措置を検討。
  • 「疑わしい取引」報告情報の分析と、取引モニタリング強化のための技術導入を推進。

4. 犯罪収益追跡・剝奪の徹底

  • 捜査段階から「収益剝奪」を最終目的とした追跡捜査の義務化
  • 金融口座の凍結要請、暗号資産ウォレットの押収、検察・税務当局との連携強化。
  • 海外送金・国外資産移転にも対応し、ICPO(国際刑事警察機構)や外国FIUを通じた情報共有を促進。
  • 起訴前の没収保全課税措置通報など、法域をまたいだ資産回収を推進。

5. 組織体制と人材育成の強化

  • 警察庁に「匿名・流動型犯罪グループ情報分析室」を新設。
  • 各都道府県警に「犯罪収益解明班」を配置し、金融情報・疑わしい取引情報を集約分析。
  • 金融犯罪・暗号資産の専門知識を持つ職員を育成し、AI分析やデータマイニング技術の活用を推進。

6. 官民・国際連携の深化

  • 国内では、金融庁・法務省・税務当局・暗号資産業界団体などと協働し、情報交換の常態化を図る。
  • 国際的には、外国FIUとの情報交換、ICPOルートでの資産追跡、条約に基づく国際捜査共助を拡充。
  • FATF(金融活動作業部会)の国際勧告改訂に対応し、日本のマネロン対策評価向上を目指す。

実務への影響

(1)金融・暗号資産事業者

  • 疑わしい取引のモニタリング体制を強化し、報告遅延や不備は行政処分対象となるリスク。
  • 犯罪収益移転防止法に基づく本人確認(KYC)・取引時確認の厳格運用が必須。
  • 暗号資産の取引履歴やウォレット情報の警察照会への迅速対応が求められます。

(2)地方警察・捜査機関

  • 収益追跡捜査を前提とした「金融トレーサビリティ捜査」への移行。
  • AI・ビッグデータ分析ツールの導入や、サイバー部門との共同捜査が標準化。

(3)企業・一般事業者

  • 振込代行、決済代行、電子マネー事業などで「疑わしい取引報告」義務の実質強化。
  • SNS広告や副業勧誘など、犯罪グループの資金流入経路への監視が求められます。

施行時期とスケジュール

  • 施行日:2025年10月1日
  • 有効期間:2025年10月~2031年3月末(5年間有効)
  • **旧要綱(2025年3月27日制定)**は廃止。
  • 今後、都道府県警による運用ガイドライン・研修資料が順次更新される予定です。

まとめ

警察庁が改正した「犯罪収益対策推進要綱」は、特殊詐欺・SNS詐欺・暗号資産マネロンを重点ターゲットとし、国内外の資金追跡・剝奪を本格化させるものです。
金融・IT分野の事業者は、警察との情報連携を前提とした「自衛的AML体制」の再構築が急務です。
今後の重点は、AI分析による資金トレーサビリティの高度化と、暗号資産を含むグローバル資金ネットワーク対策の強化にあります。


引用元

警察庁「犯罪収益対策推進要綱の改正について(通達)」丙組一発第22号ほか(令和7年10月1日施行)

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