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【2026年4月施行】金融庁「金融商品取引業者等向け監督指針」改正案。仕組債販売・投資助言で「利益相反説明」の明確化へ

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金融庁は「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」を改正し、2026年4月施行を目指しています。今回の改正は、第一種金融商品取引業者、投資助言・代理業、登録金融機関、金融商品仲介業者を対象に、顧客との利益相反に関する説明義務の明確化販売・勧誘時の説明文書の電子提供ルール整備を行うものです。特に仕組債や投資一任契約を扱う事業者にとって、営業体制・説明書類・評価制度の見直しが実務上の大きな論点となります。

改正の背景

改正の背景には、仕組債や投資信託販売を巡るトラブル、金融グループ間の利益相反構造、顧客への情報提供不足などが挙げられます。金融庁はこれまで「勧誘方針の適正化」や「高齢投資家保護」を重点監督項目としていましたが、複雑化する販売スキームに対応するため、説明義務・利益相反管理・業績評価体系をより詳細にガイドライン化しました。今後は、販売段階での透明性確保と社内インセンティブ設計の適正化が問われることになります。

改正の主なポイント

契約締結前の説明・書面交付の電子化に関する留意事項

第一種金融商品取引業者について、契約締結前書面の電磁的方法(電子交付)による提供に関する具体的留意点が新設されます。特に、「顧客が理解に相当の知識を要する複雑な仕組債」については、理論価格や費用構成を説明することが求められます。理論価格と取得価額の差がある場合には、その理由(発行・ヘッジコスト、発行者利益等)を明示し、顧客と業者の利益相反リスクを具体的に説明する必要があります。

グループ会社との「資本関係・人的関係」の明示義務

販売・媒介・助言を行う各事業者に対し、関係会社との資本関係や人的関係を顧客に明示することが新たに義務づけられます。親法人・子法人・関係外国法人などグループ内の関係が該当する場合、その旨を説明する必要があります。加えて、それらの関係により「グループ全体の利益が優先される」など、利益相反のおそれがある理由を具体的に説明することが求められます。

業績評価制度と利益相反の明確化

販売部門・役職員の評価体系が特定商品の販売量に連動している場合には、特別の評価が行われる旨を顧客に説明することが新設されました。具体的には、特定仕組債や投資信託、投資一任契約の媒介を行った場合に追加的なインセンティブ評価が設定されているケースが対象です。金融庁は、こうした体系がない場合でも「利益相反リスクが潜在する」として、監督上の検証を行うよう指摘しています。

投資助言・代理業における利益相反説明義務の新設

投資助言・代理業者にも、行為を行う金融商品取引業者との資本・人的関係および利益相反理由の説明義務が追加されます。特に、助言・代理の対象がグループ企業の商品である場合、その構造を顧客に明示する必要があります。併せて、助言報酬や評価制度により特定契約の推奨が優遇される場合は「特別の評価」として説明が必要です。

登録金融機関・金融商品仲介業者への横展開

銀行や証券仲介業者にも同様の説明義務が拡大します。登録金融機関が仕組債販売や投資一任契約の媒介を行う場合、関係会社との資本・人的関係、利益相反理由、業績評価体系を明示しなければなりません。また、金融商品仲介業者には、顧客が求めれば説明書類を常時閲覧可能とする義務と、可能な限りインターネットでの提供を推奨する運用が追加されています。

実務への影響・企業の対応策

今回の改正は、「仕組債販売・投資助言・仲介行為」に共通する利益相反リスクの見える化が核心です。各事業者は次のような体制整備が必要になります。

  1. 説明書類・スクリプトの再設計
    理論価格、費用構成、関係会社、利益相反理由を明確に記載した書面を作成。電子交付にも対応させる必要があります。
  2. 販売・助言時の会話内容の標準化
    顧客への説明プロセスをマニュアル化し、録音・ログ保存を義務づけることで、監督当局の確認に対応。
  3. 評価・報酬制度の透明化
    特定商品の販売実績に応じたボーナス評価など、利益相反となる可能性がある評価制度の有無を内部点検。
  4. グループ情報の開示連携
    親会社・子会社・関連外国法人間での販売・助言・仲介情報を整理し、説明書面で統一的に開示。
  5. 監査・内部統制の強化
    利益相反関連の社内監査項目を拡充し、監督指針の改正内容を反映したチェックリストを整備。

施行時期と今後のスケジュール

この監督指針改正案は、2026年4月施行が予定されています。今後は、パブリックコメントを経て最終版が確定次第、監督指針(正式版)が公表されます。改正内容は、金融庁検査や日本証券業協会の自主検査でも順次反映される見込みです。各社は2025年度中に社内規程・販売マニュアル・教育プログラムを改訂し、システム対応(電子書面交付・説明記録保存)を完了させることが求められます。

まとめ

本改正は、金融商品の販売・助言・仲介における「顧客利益優先原則」の実効性を高めるものであり、今後の金融事業における透明性と信頼確保の鍵となります。仕組債や投資一任契約を扱う企業は、説明義務の強化だけでなく、利益相反の管理体制そのものの再設計が避けられません。経営層は、販売現場とコンプライアンス部門を連携させ、2026年施行までに体制整備を完了させることが肝要です。

引用元

金融庁「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 新旧対照表(案)」2025年10月公表(Ⅳ-3-1-2(13)ほか、Ⅶ-2-2-3、Ⅷ-1-1、Ⅺ-1に関する改正部分)

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