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【2025年4月施行】令和7年度「税制改正(国税)」の実務影響まとめ。基礎控除・給与所得控除の引上げとグローバル・ミニマム課税対応、免税販売の厳格化まで

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令和7年度の税制改正(国税)は、個人所得課税から国際課税、消費税、地方税連動措置まで幅広く見直され、一部を除き2025年4月1日に施行されます。経営者・人事労務・経理財務担当者にとっては、給与計算や年末調整、源泉徴収の見直し、グローバル・ミニマム課税(GloBE)への制度対応、免税販売の運用強化など、実務の即応が必要です。本稿では、企業視点で押さえるべき改正骨子と、部門別の対応ポイントを整理します。

改正の背景

物価上昇局面での実質負担感の緩和、国際的な租税回避への対応、観光需要の回復局面における免税販売の適正化、デジタル化に伴う電子帳簿・電子取引の統制強化といった政策課題にこたえる総合改正です。個人向けには基礎控除・給与所得控除の底上げや若年扶養・生命保険料控除の見直し、企業向けには最低課税(QDMTT/UTPR相当の国内制度化)と報告義務の整備、さらに免税制度に税関確認の義務化を導入することで、徴税の公平性・実効性を高めています。

改正の主なポイント

基礎控除・給与所得控除の引上げと源泉実務の見直し

合計所得金額2,350万円以下の個人について、基礎控除が10万円引き上げられます。あわせて給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ引上げ。これに連動して、月額・日額の源泉徴収税額表、賞与の算出率表、公的年金等の源泉計算も見直されます。年末調整・給与計算システムの更新が必須です。

「特定親族特別控除」の新設と扶養要件の緩和

19歳以上23歳未満で一定所得以下の生計同一親族を対象に「特定親族特別控除」を創設。所得階層に応じた定額控除(上限63万円)が設けられ、年末調整でも適用可能です。さらに、勤労学生・同一生計配偶者・扶養親族の合計所得要件が引き上げられます。人事・総務は扶養異動届や年末調整様式の案内を早期に刷新しましょう。

グローバル・ミニマム課税(国際最低課税/国内最低課税)の制度化

特定多国籍企業グループを対象に、国際最低課税残余額に対する法人税(税率90.7%を乗じて算定する方式)と、国内最低課税額に対する法人税(税率75.3%を乗じて算定)が新設。対象年度終了後「1年3か月(場合により1年6か月)」以内の申告・納付、関連する地方法人税の整備、報告事項(グループ国内最低課税額報告)の提出義務・免除要件、罰則規定まで定まりました。連結外を含むグループ横断のデータ収集と、税効果・情報開示の設計が不可欠です。

防衛特別法人税の創設(令和8年4月1日以後開始事業年度)

基準法人税額から年500万円の基礎控除を差し引いた課税標準に税率4%を適用。中間申告・確定申告・控除・還付等の手続や、外国税額・分配時調整外国税相当額等との関係整理が必要です。制度は防衛力整備の財源確保を目的に位置づけられています。

免税販売(輸出物品販売場制度)の厳格化

訪日客向け免税について、購入日から90日以内に税関長の確認を受ける要件を追加。税関確認情報は国税庁経由で事業者に提供され、事業者は当該情報の保存が義務化。不備があれば許可取消の対象となり、正当理由なく輸出しない場合は罰則対象となります。酒類の輸出免税制度にも同趣旨の見直しが及びます。店舗運用・レジ接続・書類保存体制の総点検が必要です。

電子取引・重加算税の取扱い見直し

期限後申告等に伴う重加算税の上乗せ(+10%)の対象から、一定の要件を満たす「特定電磁的記録」を除外する整理が入りました。電子取引データの保存体制が適正であれば、過度なペナルティを回避し得ます。電子帳簿保存法対応の実効性担保が、ガバナンス上のリスク低減にも直結します。

個人関連の特例:住宅ローン控除・生命保険料控除等

2025年入居の一定住宅について借入限度額の整理、23歳未満の扶養がある場合の一般生命保険料控除計算の見直しなど、給与・年末調整での案内が必要な改正が並びます。NISA・未成年者口座の制度運用にも細かな整備が入り、事務運用の確認が欠かせません。

実務への影響・企業の対応策

人事労務・給与計算
人件費シミュレーションと年末調整設計の更新が最優先です。基礎控除・給与所得控除の引上げや公的年金源泉の調整により、源泉徴収税額表・賞与算定率の改定反映が必須。従業員向けには、扶養判定の基準変更(勤労学生・同一生計配偶者・扶養親族の所得要件引上げ)と「特定親族特別控除」の新設について、年末調整の前倒し周知を行います。

経理財務・税務(国内)
免税販売を行う小売・観光関連は、購入から90日以内の税関確認フローの実装、税関確認情報の保存要件、許可取消リスクへの内部統制(レジ・基幹のマスタ整備/証憑突合)を整備。電子取引データの保存については、「特定電磁的記録」要件を満たすよう運用ルール・監査ログ・保管期間・検索性を再点検します。

国際税務・連結ガバナンス
グローバル・ミニマム課税は、国内最低課税と国際最低課税の二層で制度設計されています。対象判定、国内・国外の所得・税額情報、従業員数・有形資産の配賦、申告期限(原則、対象年度終了後1年3か月)を見据え、連結ベースのデータモデル・社内締切・監査人との合意形成を早期に構築しましょう。報告制度(グループ国内最低課税額報告事項等)の義務有無や免除要件の確認も必須です。

中小企業向け投資減税の見直し
特別償却・税額控除の対象や適用範囲が整理・延長・一部廃止されています。経営力向上計画や特定機械装置等の取り扱いが更新されているため、設備投資計画時の税効果試算は最新版の要件で再チェックを。食品等の安定供給や再資源化設備に関する特例も追加されており、該当業種は活用余地を検討しましょう。

防衛特別法人税への備え
令和8年4月1日以後開始事業年度から課税。基礎控除(年500万円)の取り回し、外国税額控除等との相互作用、通算法人の配賦、還付・中間納付の実務を、法人税申告プロセスに織り込んでおく必要があります。

業種別視点
製造業・リース業は、リース譲渡関連の特例廃止や設備投資税制の見直しが事業収益の認識・投資判断に影響。小売・免税店・酒類製造は、免税販売の確認・保存義務や罰則強化に伴うオペレーション見直しが急務。観光関連は免税要件の周知と返品・不輸出時の対応手順明確化が求められます。

施行時期と今後のスケジュール

本改正は「一部を除き2025年4月1日施行」。グローバル・ミニマム課税関連は対象会計年度ごとの申告期限が年度終了後1年3か月(一定の場合1年6か月)で、早期に期内データを収集できる体制づくりが鍵となります。防衛特別法人税は2026年4月1日以後開始事業年度から適用。免税販売の税関確認義務は制度施行と同時に運用開始されるため、販売現場・システムの事前テストを行いましょう。

まとめ

令和7年度税制改正は、「家計負担の緩和」「国際課税の実効性向上」「免税販売の適正化」「DX時代の記録管理の精緻化」が柱です。企業は、給与・年末調整と源泉、国際税務・グループ報告、免税販売運用、電子取引データ管理、投資減税の適用可否を、部門横断で一体的にアップデートすることが求められます。改正点は広範ですが、早めの体制整備により、申告・保存・開示の各局面でのリスクを低減し、制度のメリットを取り込みましょう。

引用元

官報:令和7年3月31日 号外第8号、施行期日:一部を除き2025年4月1日

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