MENU

【2025年10月1日施行】古物営業法施行規則改正で「室外機・電線・グレーチング」も1万円未満取引の本人確認義務対象に。金属盗対策が新段階へ

  • URLをコピーしました!

2025年10月1日から、古物営業法施行規則の一部改正が施行されます(令和7年国家公安委員会規則第14号)。今回の改正は、全国で急増している金属盗被害への対策を目的とし、**エアコンの室外機・電気温水機器のヒートポンプ・電線・グレーチング(金属製)**の4品目について、取引金額が1万円未満でも本人確認義務と帳簿記載義務の対象とする内容です。これにより、リサイクル業者、金属回収業者、電気工事・設備業、建設・解体業などの現場対応が大きく変わります。

改正の背景

警察庁によると、銅線・マンホール・側溝蓋などの金属盗が全国で相次ぎ、公共インフラや建設現場、空調設備の被害が顕著となっています。これらの盗品の多くは古物市場や金属回収ルートに流入し、特に1万円未満で取引されるケースでは本人確認が免除される「規制のすき間」が悪用されていました。今回の改正は、この**「少額取引の抜け道」**を塞ぎ、盗難物の流通遮断を目的としています。

改正の主なポイント

1. 対象品目の拡大(規則第16条第2項)

以下の4種類の金属製品が、新たに本人確認義務・帳簿記載義務の対象となります。

  • エアコンディショナーの室外ユニット(室外機)
  • 電気温水機器のヒートポンプ(室外ユニット型を含む)
  • 電線(銅線・アルミ線など素材を問わず)
  • グレーチング(金属製の側溝蓋など)

これらは取引金額が1万円未満でも例外なく確認・記録義務が発生します。従来は1万円以上のみ義務対象でしたが、今回からは金額を問わず対応が必要です。

2. 「室外機」関連の留意点

エアコンの室外ユニットおよび電気温水機器のヒートポンプは、家電リサイクル法上、原則として室内機とセットで取引されるものですが、単体で買い受ける場合も古物取引として本人確認が必要となります。
また、修理・分解後でも本来の用途に使用できる状態であれば「古物」として扱われます。一方、破損・切断などにより使用不能な状態のものは「古物」ではなく「特定金属くず」として別法令(特定金属製物品処分防止法)の対象となります。

3. 「電線」の範囲

対象となるのは送電を主目的とする電線であり、素材は銅・アルミを問いません。LANケーブルやテレビ接続ケーブルなど通信系ケーブルは対象外です。また、延長コードや充電ケーブルは独自の流通実態から社会通念上「電線」とはみなされません。ただし、銅線がむき出しの状態で売買される場合は本人確認義務の対象です。

4. 「グレーチング」の定義

道路や側溝などの排水施設に用いられる金属製の格子状の蓋が対象です。鉄・アルミなど金属製のものに限られ、コンクリート製やFRP製(繊維強化プラスチック製)のグレーチングは対象外となります。

5. 特定金属くずとの関係

室外機・ヒートポンプ・電線(銅製)などで、本来の用途に使えない「くず」状態のものは、**令和7年法律第75号「特定金属製物品の処分の防止等に関する法律」**に基づく「特定金属くず」に該当する可能性があります。同法による本人確認・帳簿作成義務が令和8年6月までに施行される予定であり、今後は二重の管理体制が求められることになります。

6. 業界への周知義務

警察庁は各都道府県警察に対し、古物商・リサイクル業界への積極的な周知を求めています。金属回収・廃品業者、解体・設備業者などへ説明会・通知文を通じて、早期に運用ルールを浸透させる方針です。

実務への影響・企業の対応策

今回の改正により、金属系リサイクル・建設・設備関連企業は、買取・受入業務の運用変更が必要です。実務上は次の3点を中心に対応してください。

  1. 本人確認・帳簿記載の徹底
     室外機・電線・グレーチングなどを1万円未満で取引する場合も、相手の氏名・住所・職業・本人確認書類の写しを取得し、帳簿に記録する必要があります。小規模業者や回収委託業者も対象となる点に注意が必要です。
  2. 社内ルール・システム改修
     既存の買取管理システムや受付帳簿に「少額取引時の本人確認項目」を追加します。受付担当者への教育も重要です。帳簿は法定保存期間に従い5年間保存します。
  3. 廃品との区分管理
     使用不能な金属製品は「古物」ではなく「特定金属くず」として管理する体制を整えます。回収・解体・販売ルートごとに、古物取扱・特定金属くず取扱を明確に区分することが求められます。
  4. 協力業者との契約更新
     委託・協力業者が古物商登録を有しているか、本人確認手順を遵守しているかを確認し、契約条項を更新します。違反が発覚した場合は行政処分の対象となる可能性があります。

施行時期と今後のスケジュール

改正規則は2025年10月1日施行です。関連する「特定金属製物品の処分防止法」は2026年6月までに順次施行される予定です。したがって、企業は2025年度内に以下を完了させることが推奨されます。

  • 古物取引対象品目の棚卸しと区分整理
  • 本人確認・帳簿管理マニュアルの改訂
  • 買取担当者・現場職員への教育実施
  • 委託契約書・取引記録の更新

まとめ

今回の古物営業法施行規則改正は、金属盗被害の社会問題化を受けて、従来の「少額免除制度」を撤廃する実質的な強化策です。室外機・電線・金属グレーチングなど、盗難の多い資材が流通の初期段階でトレースされることにより、不正取引の抑止が期待されます。
企業は、**「1万円未満でも本人確認」**という新ルールを確実に浸透させ、法令違反を防ぐ内部体制を整えることが不可欠です。

引用元:警察庁通達「古物営業法施行規則の一部を改正する規則の施行について」(令和7年8月20日・警察庁丙生企発第62号)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次