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【2026年4月施行】労働安全衛生法改正で「個人事業主」も安全管理の対象に。元請・製造業者に求められる新たな対応とは

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2026年4月1日から、労働安全衛生法および関連省令が大幅に改正されます。今回の改正では、「労働者」だけでなく、個人事業主やフリーランスなど“作業従事者”全体が安全衛生管理の対象に加わることが最大のポイントです。建設業、製造業、造船業など、現場で協力会社や個人事業主が混在する業種の経営者や安全衛生担当者にとって、対応の遅れはリスクとなり得ます。

(パブリックコメント:https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000301049

改正の背景:多様な働き方の広がりに対応

これまでの労働安全衛生法は、「労働契約に基づく労働者」の保護を中心としていました。しかし、建設現場や製造ラインなどでは、請負や委託契約を通じて個人事業主が同じ現場で働くケースが増加しています。
今回の改正では、こうした「雇用関係にない作業従事者」も実際の作業現場におけるリスクを共有していることから、元方事業者(元請け)に対して、個人事業主を含むすべての作業従事者の安全確保を求める内容へと踏み込みました。

改正の主なポイント:現場管理と化学物質対策の強化

1. 「労働者」から「作業従事者」へ——安全衛生の対象が拡大

これまで安全管理の対象は自社の従業員に限られていましたが、今後は**個人事業主や協力会社のスタッフも含めて「作業従事者」**という新たな概念のもとで、安全対策の義務が生じます。
元請け企業には、個人事業主も含めた連絡調整・危険防止措置を講じる義務が発生し、共用部での墜落・転倒防止策も新設されます。

2. 建築物・機械の貸与者にも安全配慮義務

建築物や機械の貸与者(リース会社など)にも、貸与先が「事業者」だけでなく「事業を行う者」——つまり個人事業主を含むすべての利用者——である場合に、安全上の措置を取る責任が生じます。
これにより、リース業者・レンタル事業者も法的な安全責任を負う範囲が拡大します。

3. 化学物質管理の透明化と「代替化学名制度」の導入

有害化学物質を取り扱う事業所では、代替化学名による通知制度が新設され、医師への情報開示や記録の保存が義務付けられます。
化学物質の有害性情報の管理体制が強化されるため、製造業・研究開発部門・化学品を扱う事業者はSDS(安全データシート)の見直しが必要になります。

登録制度・検査制度も見直し:クレーンやボイラー製造業者は要確認

ボイラー、クレーン、ゴンドラなどの製造に関しても、設計審査を行う「登録設計審査等機関」が制度化され、審査書類の添付や記録保存が義務化されます。
これにより、製造事業者はこれまで以上に設計段階での安全確認と文書管理の徹底が求められることになります。

企業に求められる実務対応

この改正は単なる文言変更ではなく、元請企業・製造業者・リース業者が個人事業主を含む安全衛生体制を再構築することを求める大きな転換点です。
対応の遅れは、災害時の責任追及や監督署からの是正勧告などにつながるリスクもあります。
企業としては次のような対応が必要になります。

  • 現場に出入りする個人事業主・協力業者の安全衛生ルールを明文化
  • 安全教育・危険予知(KY)活動を労使区別なく実施
  • 化学物質の取り扱いに関するSDS・通知制度の再確認
  • 建物・機械の貸与契約書に安全措置の範囲を明記
  • 元請・下請間の安全管理連絡体制を再構築

施行日は2026年4月1日。今から準備を始めよう

本改正は令和8年(2026年)4月1日施行が予定されています。法令対応には、制度理解から社内規程・契約書の見直し、安全教育の整備まで一定の準備期間が必要です。
今後、厚生労働省から公布される最終省令・指針の内容も注視しながら、**「個人事業主も含めた安全衛生管理体制」**の構築を早急に進めていくことが重要です。

まとめ:安全衛生法改正は“誰を守るか”の時代へ

これまでの「雇用関係にある労働者の安全」から、「現場で働くすべての人の安全」へ——。
この改正は、企業の安全管理をより包括的で持続可能なものへと進化させる第一歩です。
建設・製造・リース・化学業界の経営者、人事・安全衛生担当者は、今こそ社内体制を見直し、2026年施行に備えましょう。

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