経済産業省は、ペットボトル入りミネラルウォーターの「賞味期限」表示と計量法の関係について、消費者・事業者双方からの問い合わせに答えるQ&A資料を公表した。計量法が定める量目規制の適用タイミングや、食品表示法における「賞味期限」の意味を整理し、誤解の解消を図る内容。
目次
改正の背景・趣旨
近年、ミネラルウォーターの「賞味期限」表示を、計量法上の「内容量が保持される期限」と誤解する問い合わせが発生。経済産業省は、計量法の目的(計量の基準整備と適正な計量の確保)を踏まえ、量目表示義務の範囲と適用時点を明確化するとともに、食品表示法に基づく「賞味期限」の定義を改めて周知するため、参考Q&Aを提示した。
主な整理ポイント(制度・基準の変更点ではなく周知事項)
- 計量法に「内容量保持期限の表示義務」はない
計量法は取引の適正化の観点から、販売時点での内容量(質量または体積)の表示を義務づけるものであり、内容量が保持される期限(日付)の表示義務は規定されていない。 - 「賞味期限」は食品表示法の概念
「賞味期限」は、定められた方法で保存した場合に期待される品質が十分保持される期限を示す年月日。期限を過ぎても直ちに食べられなくなるわけではないとされ、見た目・臭い等を踏まえた消費者の判断と、調理法の工夫による食品ロス削減が求められている(消費者庁「食品表示基準Q&A(総則-24)」の整理)。 - 販売後の自然減少は計量法違反に当たらない
量目規制は**商品の「販売時」**に適用。販売後、消費者の長期保存によって蒸発等により内容量が自然減少し、表示量を下回っても、計量法違反には問われない。
影響・対応(事業者・自治体・現場)
- 飲料メーカー・輸入事業者
- 表示設計:計量法の量目表示(販売時点)と食品表示法の賞味期限表示(品質維持の目安)を役割分担として明確化。
- コールセンターFAQ・Web表記:本Q&Aに沿い、「賞味期限≠内容量保持期限」「販売後の自然減少は違反不該当」を明記。
- 卸・小売
- 売場表示・教育:店頭POPや社内マニュアルで両法の位置づけを簡潔に説明し、問い合わせ対応の平準化を図る。
- 自治体・検査機関
- 監視・指導:量目検査は販売時点を基準とすることを再確認し、事業者向け説明資料の更新・周知を推進。
施行スケジュール(周知・運用の目安)
| 時期 | 事項 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 公表直後 | 参考Q&Aの周知 | 社内FAQ・Web FAQ・表示ガイドの更新 |
| 1~3か月以内 | 教育・訓練 | コールセンター/売場担当向け研修、想定問答の整備 |
| 継続 | 監視・改善 | 問い合わせ内容をモニタリングし、説明文面を継続改善 |
関係者コメントや反応(該当情報の範囲で)
審議会等の特段のコメント紹介はなく、制度改正ではなく周知整理に重心。現場では、誤解解消による問い合わせ削減や、食品ロス削減の観点からの情報提供の充実が期待される。
まとめ(今後の展望)
本Q&Aは、計量法と食品表示法の適用場面の違いを明確にし、消費者説明の一貫性を高める実務ドキュメント。事業者は、表示設計・FAQ・教育資料を速やかに見直し、**「販売時の量目」対「品質保持の期限」**という二つの枠組みを誤解なく伝える体制整備が求められる。