厚生労働省が公表した最新の「労働基準関係法令違反事例」によると、多くの企業が労働基準法や労働安全衛生法などに違反していることが明らかになりました。これは、私たち労働者にとっても決して他人事ではありません。違反事例を知り、自分の働く環境を見直すことが大切です。
1. 違法な時間外労働の実態
違反の中でも特に目立つのが「違法な時間外労働」。
- 36協定の締結・届出なしでの長時間労働
企業の中には、労使協定(36協定)を結ばずに、違法な長時間労働をさせている事例が多数報告されています。 - 時間外労働の割増賃金未払い
法定の割増賃金を支払わず、労働者にサービス残業を強いているケースもありました。
対策
- 36協定が締結・届出されているか確認しましょう。
- 自分の労働時間を記録し、適正な賃金が支払われているかチェックしましょう。
- 未払い賃金がある場合は、労働基準監督署へ相談するのも有効です。
2. 安全対策の不備による労働災害
労働安全衛生法に関する違反事例も数多く報告されています。
- 高所作業の安全対策不備
足場が不十分、墜落防止措置を取らずに作業させるケースがありました。 - 無資格者による危険作業
フォークリフトやクレーン操作など、資格が必要な業務を無資格の労働者に行わせるケースが確認されています。 - 労働災害の報告義務違反
4日以上の休業を要する労働災害が発生した際、遅滞なく報告しなかった企業も多数ありました。
対策
- 危険作業には必要な資格があることを確認しましょう。
- 安全対策が不十分な場合、会社や労働組合に改善を求めましょう。
- 労働災害が発生したら、すぐに労働基準監督署へ報告するよう確認しましょう。
3. 最低賃金法違反の事例
- 未払い賃金問題
最低賃金以下の賃金で労働者を働かせたり、賃金を支払わない企業も報告されています。
対策
- 自分の給与が最低賃金を下回っていないか確認しましょう。
- 給与明細を必ず保管し、未払いが発生したら記録を取りましょう。
- 最低賃金を下回る場合は、労働基準監督署や労働相談窓口に相談しましょう。
4. 労働者が取るべき行動
- 労働条件をしっかり確認する
雇用契約書や就業規則を読み、法律に則った働き方ができているかチェックしましょう。 - 労働組合や相談窓口を活用する
労働基準監督署、労働相談センター、ユニオンなどの外部機関を活用するのも重要です。 - おかしいと思ったら声を上げる
会社に直接改善を求める、または第三者機関に相談することが大切です。
まとめ
今回の厚生労働省の公表資料では、多くの企業が労働基準法や労働安全衛生法に違反していることが明らかになりました。しかし、これは「どこか遠い話」ではなく、私たち労働者一人ひとりが知り、行動することで職場環境を改善できる問題でもあります。
今一度、自分の働き方や労働条件を見直し、安心して働ける環境を整えましょう。