国土交通省は、航空法施行規則の一部を改正する省令案を発表しました。この改正は、航空整備士・操縦士の人材確保・活用に関する制度の見直しを目的としており、2025年(令和7年)3月に公布、2026年(令和8年)3月末に施行される予定です。本記事では、改正の背景、主な変更点、影響について解説します。
1. 改正の背景
現在、航空運航整備士の業務範囲や資格制度に関するルールが、現場のニーズに十分に対応できていないという指摘がありました。また、査察操縦士の指名に関する要件も見直しが求められていました。このため、航空整備士・操縦士の活用促進を目的として規則の改正が行われます。
2. 主な改正点
(1)航空運航整備士の業務範囲拡大
- 軽微な修理の定義が見直され、より多くの作業が航空運航整備士の業務範囲に含まれることになります。
- 特に、動力装置の燃焼を伴わない作動点検が必要な修理が、軽微な修理として認められるようになります。
(2)一等航空運航整備士の型式限定の見直し
- 従来、特定の航空機の型式ごとに資格が限定されていましたが、今後は国土交通大臣が指定する型式を除き、型式の限定が不要になります。
(3)査察操縦士の指名要件の変更
- 実地審査をシミュレーターのみで行うのではなく、機長認定を受けようとする者と同じ航空機の補助座席に座らせて行うことも可能になります。
(4)試験内容の変更
- 一等・二等航空運航整備士の実地試験から、動力装置の燃焼を伴う作動点検が除外されることになります。
(5)経過措置
- 既存の資格保持者や訓練生に対しては、一定期間、旧制度が適用される経過措置が設けられます。
3. 施行スケジュール
- 令和7年3月:改正規則の公布
- 令和8年3月末:改正規則の施行(規則第5条の6および別表第3の改正規定を含む)
4. 影響と対応策
航空整備士の方へ
- 業務範囲が拡大することで、新たな作業の習得が必要になる可能性があります。
- 型式限定の要件が緩和されることで、より多くの航空機の整備が可能になります。
航空会社・整備事業者の方へ
- 整備士の資格要件が変更されるため、適切な研修・教育プログラムの見直しが必要です。
- 航空整備士の有効活用が期待されるため、人材確保の選択肢が広がります。
パイロット・査察操縦士の方へ
- 実地審査の方法が変更されることで、審査の柔軟性が向上します。
5. まとめ
航空法施行規則の改正により、航空運航整備士の業務範囲が拡大し、資格制度の要件が見直されます。これにより、航空業界の人材確保や活用の柔軟性が向上し、より効率的な運航・整備が可能になることが期待されます。
改正の詳細を確認し、早めに準備を進めましょう!