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2027年4月‐建築物省エネ法改正、建築確認申請書の添付図書を見直しなど

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近年、持続可能な社会を目指す動きが急速に進んでいます。その中で、建築業界も例外ではありません。この度、経済産業省および国土交通省は、建築物のエネルギー消費性能向上を目的とした法改正を行い、関連省令および告示の整備を発表しました。この新たな規制の詳細と、事業者や従業員にどのような影響を及ぼすのかを紐解いていきましょう。

目次

法改正の背景――持続可能な建築物の実現

2022年6月に公布された改正法(令和4年法律第69号)は、脱炭素社会を実現するための建築物エネルギー消費性能の向上を目指したものです。これは、気候変動対策の一環として、エネルギー効率の高い建築物の普及を推進するための重要なステップとなります。この背景には、国際的な脱炭素目標の達成や、エネルギー資源の効率的な利用に対する社会的な要求が高まっていることが挙げられます。

主な改正点――業界への具体的な影響

今回の法改正では、建築物のエネルギー消費性能向上に向けたさまざまな措置が講じられています。これにより、建築士や関連事業者の業務内容や責任が見直されることとなり、業界全体が大きく変革する可能性があります。

改正の一つとして、建築士にはエネルギー消費性能に関する説明の「努力義務」が新たに課されました。これにより、設計段階から省エネ性能を考慮する意識がさらに求められます。建築士が施主や関係者にこれらの情報を的確に伝えることが期待され、業界全体での知識向上が必須となるでしょう。

また、省エネ基準適合性判定の手続きが一部簡素化されます。特定の条件を満たす住宅については、従来の手続きよりもスムーズに進められる仕組みが導入され、業務負担が軽減されることが見込まれます。一方で、登録建築物エネルギー消費性能判定機関や適合性判定員の資格要件も見直されており、高度な専門知識が求められるようになります。この動きは、業界の信頼性を高めると同時に、事業者の専門性の向上を促します。

施工現場への影響――新たな基準への適応

特に現場レベルでは、省エネ基準や構造計算に関する規定が見直されている点が注目されます。従来は煩雑だった建築確認申請や完了検査の際の添付図書について、合理化が図られました。例えば、木造建築物においては、詳細な図面の添付を省略し、必要最低限の仕様表を添付することで対応が可能となります。これにより、設計者や施工者の業務負担が軽減されることが期待されます。

一方で、建築物の増築や改築においても、省エネ基準への適合が求められるようになり、既存建築物への対応が厳格化されます。これにより、業務プロセスの見直しや効率化が必要となる場面が増える可能性があります。

気候風土適応住宅――地域性を考慮した設計

また、地域ごとの特性を考慮した「気候風土適応住宅」の要件が拡充された点も見逃せません。例えば、茅葺き屋根やせがい造りといった日本の伝統的な建築様式に対応した規定が設けられました。これにより、地域の文化を尊重しながらも、省エネ性能を向上させる建築物の設計が可能となります。こうした配慮は、地元工務店や設計事務所にとって重要なビジネスチャンスとなるでしょう。

新たな時代への一歩――建築業界に求められる変化

今回の法改正は、単なる規制強化ではなく、建築業界が新たな価値を創造するための機会でもあります。エネルギー効率を高めるだけでなく、地域性や文化を尊重した建築物の普及を促進することで、持続可能な社会の実現に寄与することが期待されています。

事業者や労働者の皆さんにとっては、新たな基準や手続きへの対応が求められる一方で、専門性の向上や業務の効率化を通じて競争力を高めるチャンスとも言えるでしょう。この変革を前向きに捉え、柔軟に対応することで、建築業界全体が次のステージへと進むきっかけになるのではないでしょうか。

令和7年4月1日の施行日を迎えるにあたり、必要な準備を進めることが求められます。今後も法改正の動向を注視しながら、持続可能な社会づくりに貢献できるよう取り組んでいきましょう。

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