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【2025年10月15日適用】確定給付企業年金の「規約承認・認可基準」改正。申請書類の様式・提出期限・同意要件が一部変更に

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厚生労働省年金局は、2025年10月15日付で「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」(平成14年3月29日年企発第0329003号・年運発第0329002号、以下「承認認可通知」)を一部改正しました。
本改正は、企業年金の申請・承認手続をより円滑化することを目的としており、規約変更申請の標準処理期間の明確化給付減額時の同意要件の整理、および添付書類の追加・様式変更が中心です。
企業年金を運営する事業主や基金は、今後の規約変更や届出に際し、新様式と審査基準を確認の上で準備を進める必要があります。

改正の背景

確定給付企業年金制度(DB)は、法施行から20年以上が経過し、制度改廃・他制度との統合・リスク分担型制度への移行など、多様な変化に直面しています。
その中で、企業年金の承認・認可事務における書類不備や処理遅延が課題となっており、今回の改正は「申請の標準期間の明確化」「給付減額時の同意確認の明文化」「申請書類の整理」を目的に行われました。
また、確定拠出年金制度(DC)との併用や、他制度への移換が増える中で、審査上の整合性を図る狙いもあります。

改正の主なポイント

1)申請の「標準処理期間」を2か月に明記

改正通知では、規約承認・認可の標準処理期間を2か月と明示しました。
事業主・基金は、規約の適用日のおおむね2か月前までに申請することが求められます。
特に、4月・10月に申請が集中する傾向を踏まえ、3か月前の早期申請が推奨されています。
これは、制度変更・給付設計改定など大規模な改正を行う際の行政処理の遅延防止を目的としています。

2)給付減額時の「同意要件」を整理・明文化

給付額を減額する場合に必要な同意について、具体的な規定が追記されました。
労働組合や加入者の同意に関する要件を整理し、以下のように明確化されています。

  • 加入者の3分の1以上で組織する労働組合がある場合:当該労働組合の同意が必要。
  • 労働組合がない場合:加入者の3分の2以上の同意が必要。
  • 受給権者等の給付を減額する場合:受給権者等の3分の2以上の同意が必要。

また、「給付減額として取り扱わない変更」(名目額が増加するが現価が減少する場合)については、該当する加入者の3分の2以上で組織する労働組合の同意を得た場合に限り、減額扱いとしないことができるとされました。
この際、事業主は「労働組合の現況証明書」を添付する必要があります。

3)予定利率の設定と規約記載の明確化

基金解散や制度終了時の最低積立基準額の算定に用いる予定利率について、
「確定給付企業年金法施行規則第55条第1項第1号に規定する予定利率に、0.5%以内を加算した率を設定する場合は、規約に明記すること」との記載が新設されました。
これにより、予定利率の設定根拠を明文化する必要があります。

4)申請書類一覧・添付資料の見直し

申請書類一覧(様式A~C)に関し、次の点が改正されています。

  • **「給付の額の減額に係る同意を得たことを証する書類」**の位置づけを明確化。
  • **「財政再計算報告書」および「掛金計算の基礎書類」**の添付を求める欄を新設。
  • 確定拠出年金(DC)や中退共への資産移換時の同意書類に関する明示。
  • 基金型と規約型で必要書類を整理し、一覧表の形式を見直し。

これらの変更により、承認申請時の「漏れ・差し戻し」が減少し、審査の迅速化が期待されます。

5)経過措置

令和8年10月1日以前の適用日とする規約変更申請(ただし、改正後の様式C2-イ⑥・C2-ウ⑤に該当する場合を除く)については、旧様式を引き続き使用可能とされています。
したがって、2026年度内に提出予定の申請でも、案件によっては旧版での運用が認められます。

実務への影響・企業の対応策

今回の改正は、提出期限や必要書類の見直しが中心ですが、企業年金担当者は以下の実務対応が必要です。

  1. 申請スケジュールの前倒し
    規約改正・承認申請は、適用日の2~3か月前を目安に行う体制を構築。
  2. 労使協議・同意書類の整備
    給付設計変更・減額の可能性がある場合は、労働組合または加入者代表との協議・同意を早期に開始。
  3. 財政再計算・予定利率の記載確認
    最低積立基準額の算定根拠(予定利率等)が規約上明確かを確認し、不足があれば追記。
  4. 申請書式の更新・職員教育
    新様式(C2-イ・C2-ウなど)を入手し、担当部署で使用統一。申請マニュアル・チェックリストを改訂。
  5. 関連制度との整合性確認
    確定拠出年金・中退共などへの資産移換を予定する場合は、同意・証明書類を新基準に合わせて準備。

施行時期と今後のスケジュール

本改正は2025年10月15日から適用されています。
ただし、令和8年10月1日以前の適用日を持つ申請は一部旧様式の使用が可能です。
今後、厚生労働省はオンライン申請システム対応版の様式更新を予定しており、2026年度以降は電子申請対応を前提とした運用に移行すると見込まれます。

まとめ

今回の改正は、確定給付企業年金の規約変更手続をより明確・効率的にするための事務基準見直しです。
企業としては、提出期限(2か月前目安)、同意書類の要件、予定利率の記載義務といった事務・書類管理の徹底が求められます。
とりわけ、給付設計変更や基金解散など制度改編を予定している企業は、労使協議と申請スケジュールの前倒しを確実に行うことが重要です。

(引用元:厚生労働省 年金局企業年金・個人年金課「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等についての一部改正について」(年企発1015第1号、令和7年10月15日))

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