近年、地球温暖化対策としてフロン類の使用削減が国際的な課題となっています。日本においても、フロン類の合理的な使用と適正な管理を目的とした法律が制定され、エアコンディショナーを製造・販売する事業者に対して環境影響度の低減を求める動きが進められてきました。
今回、経済産業省が告示した改正(令和6年10月1日告示第158号)では、家庭用・業務用・自動車用エアコンディショナーの製造業者等に対し、出荷する製品に使用されるフロン類及びフロン類代替物質の環境影響度の基準値を定め、その低減を義務付ける内容となっています。本改正の施行日は令和7年4月1日です。
目次
施行日と主な変更点
本改正は、令和7年4月1日より施行され、一部の規定については令和9年4月1日、令和11年4月1日と段階的に適用される予定です。主な変更点としては以下の点が挙げられます。
- 環境影響度の新たな目標値の設定
- 家庭用、業務用、自動車用エアコンディショナーごとに目標値が設定され、製造業者等はこれを遵守する必要があります。
- 各年度における出荷製品のフロン類等の環境影響度が、定められた基準値を超えないように管理することが求められます。
- 製品への表示義務
- 製造業者等は、製品の種類ごとに一定の情報を表示することが義務付けられます。
- 消費者や業務使用者が製品の環境負荷を理解しやすくするための措置です。
実務への影響
この改正により、エアコンディショナーの製造・販売に関わる事業者は、以下の対応が求められます。
- 技術開発と製品設計の見直し
- 環境影響度の基準を満たすため、新たな冷媒の採用や製造プロセスの見直しが必要になります。
- 省エネルギー性能の向上と併せて、より環境負荷の低い製品開発が求められます。
- 製品ラベル・情報表示の変更
- 規定に従い、製品に適切な環境情報を表示するための体制整備が必要です。
- サプライチェーンへの影響
- 部品供給や製造プロセスの変更に伴い、サプライヤーとの協力が不可欠になります。
- 特に冷媒を扱う事業者は、新たな環境規制に対応する必要があります。
まとめ
令和7年4月1日に施行される本改正は、エアコンディショナー業界にとって大きな変革をもたらします。環境負荷の低減に向けた規制強化の流れの中で、事業者は法令の要件を理解し、適切な対応を行うことが求められます。今後の技術革新と規制適応が業界の競争力を左右する要因となるため、早めの準備と対応が重要です。