2025年2月に向けて、建設業界や国立大学法人に関わる事業者・労働者に影響を与える法改正が施行されます。本記事では、改正のポイントとその影響について分かりやすく解説します。
1. 建設業法施行令の改正
① 特定建設業の許可が必要な下請契約の金額引き上げ
改正により、特定建設業の許可を必要とする下請契約の金額が引き上げられます。
- 建築工事業:8,000万円(従来は5,000万円)
- その他の工事業:5,000万円(従来は3,000万円)
② 施工体制台帳の作成が必要な下請契約金額の変更
施工体制台帳の作成義務がある下請契約の最低金額も同様に引き上げられます。
- 建築一式工事:8,000万円
- その他の工事業:5,000万円
③ 監理技術者の専任義務がある工事金額の引き上げ
監理技術者の配置義務が発生する工事の下限金額も変更されます。
- 建築一式工事:9,000万円(従来は7,000万円)
- その他の工事業:4,500万円(従来は3,500万円)
④ 遠隔施工管理の拡大
情報通信技術(ICT)の活用を条件に、監理技術者の現場専任義務が免除される工事の上限金額が以下のように設定されました。
- 建築一式工事:2億円
- その他の工事業:1億円
⑤ 特定専門工事の要件変更
特定専門工事に関する下請契約の金額上限が引き上げられ、
- 4,500万円(従来は3,000万円) とされます。
⑥ 監理技術者等の兼務範囲拡大
ICT活用を条件に、営業所技術者や特定営業所技術者が監理技術者の職務を兼務できる条件が拡大されます。
- 対象となる工事金額の上限:1億円(建築一式工事は2億円)
- 兼任できる現場数の上限:1か所
⑦ 技術検定の受検手数料改定
技術検定の受検手数料が改定される予定です。詳細は今後の発表を待つ必要があります。
2. 国立大学法人法施行令の改正
国立大学法人法施行令についても、公共工事の入札および契約の適正化を目的として一部改正が行われました。具体的な影響は、国立大学法人が行う工事発注のルールが変更される点にあります。
まとめ:事業者・労働者への影響
今回の改正により、建設業界の許可要件や技術者配置ルールが変わるため、以下のような影響が考えられます。
- 中小企業の参入ハードル:下請契約の金額要件が引き上げられたため、小規模事業者にとって新たな許可取得の必要が生じる可能性。
- 監理技術者の負担軽減:ICT活用により、監理技術者の兼務が可能となるケースが増え、現場管理の柔軟性が向上。
- コスト負担の変化:技術検定の受検手数料改定により、個人や企業の資格取得コストが変わる可能性。
建設業界や国立大学法人に関わる事業者・労働者の皆様は、改正内容を把握し、今後の対応を検討することが重要です。