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厚生労働省が賃金不払の企業に対する監督指導結果(令和5年)を公表

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皆さん、こんにちは。今回は、厚生労働省が最近公表した令和5年(2023年)の賃金不払に関する監督指導結果について解説します。この情報は、働く人々や就職活動中の方々にとって非常に重要です。監督指導の実態を知ることで、自分の権利を守り、より良い職場環境を選択する手がかりになるでしょう。

目次

監督指導の全体像

令和5年の監督指導結果によると、労働基準監督署が是正指導を行った案件は21,349件に上りました。これにより影響を受けた労働者数は約18万人、金額にして101.9億円という驚くべき規模です。この数字は、賃金不払問題が決して小さな問題ではないことを如実に示しています。

特筆すべきは、指導を受けた企業のうち98%が是正に応じ、96%の労働者に対して未払い賃金が支払われたことです。しかし、残りの2%の企業、4%の労働者については未だ解決に至っていません。この結果は、監督指導の効果を示す一方で、根強く残る問題の存在も浮き彫りにしています。

業種別の傾向

監督指導結果を業種別に見ると、興味深い傾向が浮かび上がります。最も多かったのは商業で全体の21%を占め、続いて製造業が19%、保健衛生業が15%となっています。これらの上位3業種で全体の55%を占めており、特に注意が必要な分野であることがわかります。

また、接客娯楽業(13%)や建設業(10%)も上位に入っています。これらの業種は労働時間が不規則になりやすい、あるいは現場での作業時間の把握が難しいなどの特徴があり、賃金不払のリスクが高いと言えるでしょう。

具体的な違反事例

厚生労働省の報告では、具体的な違反事例も紹介されています。例えば、ある食料品製造業では、月60時間を超える時間外労働に対して法定の割増率(50%以上)を下回る割増賃金しか支払っていませんでした。また、割増賃金の計算基礎から役職手当や精勤手当を除外するなど、不適切な計算方法も見られました。

別の飲食業の事例では、勤怠システムの不適切な設定により、労働時間が過小に記録されていました。具体的には、始業・終業時刻の15分未満を切り捨て、休憩時間の15分未満を切り上げるなどの処理が行われていたのです。さらに、制服への着替え時間を労働時間として計上していないケースも確認されました。

労働者が知っておくべきこと

この監督指導結果から、労働者の皆さんが知っておくべき重要なポイントがいくつか浮かび上がります。

まず、適切な割増賃金の支払いについてです。2023年4月からは中小企業も含め、月60時間を超える残業には50%以上の割増率が適用されることになりました。自分の残業代が正しく計算されているか、確認する必要があります。

次に、労働時間の正確な把握の重要性です。使用者には労働者の始業・終業時刻を正確に記録する義務があります。着替えや準備など、業務に関連する時間も労働時間に含まれることを覚えておきましょう。

さらに、定期的な賃金支払いも重要な権利です。賃金は定められた支払日に全額支払われなければなりません。最低賃金を下回る支払いは法律違反となります。

働く人々へのアドバイス

これらの監督指導結果を踏まえ、働く人々へいくつかのアドバイスをお伝えします。

  1. 労働条件をよく確認しましょう。就職や転職の際は、労働時間や残業代の計算方法について詳しく確認し、不明点があれば遠慮なく質問してください。
  2. 自分の労働時間を記録しておくことをおすすめします。スマートフォンのアプリなどを利用して、簡単に記録をつけることができます。これにより、不当な扱いがあった場合に証拠として使えます。
  3. おかしいと思ったら相談しましょう。労働基準監督署や労働組合など、専門家に相談できる窓口を知っておくと安心です。
  4. 最新の労働法改正に注目しましょう。法律は改正されることがあります。最新の情報を常にチェックし、自分の権利を守る姿勢を持ち続けることが大切です。

まとめ

厚生労働省の監督指導結果は、賃金不払問題の実態と改善の余地を明確に示しています。この結果を知ることで、私たち労働者は自分の権利をより良く理解し、適切な労働環境を求める力を得ることができます。

同時に、多くの企業が監督指導に応じて是正していることも希望の光です。労使が協力して、より良い職場環境を作っていくことが可能であることを示しています。

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